パウンドケーキのお話

[ デザート ]

今回は、当店の定番ケーキのひとつ、パウンドケーキのお話です。

お店のメニューでもご紹介していますが、このケーキはイギリスのお菓子です。バター、砂糖、卵、小麦粉を各一ポンドずつ使用することから、パウンド(=ポンド)ケーキと言われます。ポンドは重さの単位で、一ポンドが約四五〇グラムです。例えば、市販されている家庭用バターが二〇〇グラムとすると、その倍以上。砂糖や小麦粉はたいてい一キログラム袋で売られていますので、その半分近く。そして卵は九個分。想像すると、けっこうな量です。
このケーキは保存がきくので、まとめて作って少しずつ食べるのかもしれません。あるいは、イギリスでは親しい人を招いてお茶会をする習慣があるので(特に形式ばったものとは限りません)、たくさん作ってお客様にふるまうのかもしれません。単純に、甘いものが大好きでたくさん食べるのかもしれませんが・・・。

このケーキを定番に決めた理由は3つあります。

一つには、店長のミヤザキが「焼き菓子」好きだったからです。そしてもちろん、私も大好きです。

一つには、以前からこのケーキをよく作っていたからです。それほど手間がかからず、おいしくできるので、よく作りました。但し、いつも完成品に納得いきませんでした。味や食感はよいのですが、どうしてもお店で売っているように膨らまないのです。見た目の問題です。レシピ本を見てみると、本によって配合も違うし、作り方も少し違います。いろいろ試してみた結果、今現在の作り方に落ち着きました。そして作り方の他に、もう一つ重要なことがありました。単純なことですが、それは型の大きさです。私が使っていた型は本のレシピのものより大きめだったのです。膨らまないのではなく、横に広かったのです。
配合に関しては、なるべく基本のパウンドケーキに忠実にしたかったので、砂糖以外の三つの材料を同量使うことにしました。それに合わせたサイズの型で作れば、形も味も食感も満足の一品ができあがります。
イギリスにはセルフレイジングフラワーという粉が売っていますが日本にはないので、膨張剤として小麦粉にベーキングパウダーを混ぜます。しっとり感を出すために、アーモンドパウダーも使います。(混ぜ込む材料によってはいれません。例えば、バナナとか)
砂糖は単に甘みをつけるだけでなく、焼き色をつける、しっとりさせる、生地をふくらませるなどの役割もあるので、減らし過ぎはよくないようです。けれど、甘みを抑えるために、かなり減らしています。

そして、定番にした3つめの理由は、シンプルなケーキだということです。
誕生日やクリスマス、何かのお祝いの時には豪華なケーキを食べたくなりますが、いくらおいしくても、毎日は食べたいと思いません。たまに食べるからいいのではないでしょうか。一方、パウンドケーキは毎日でも食べたくなります。それはシンプルだからです。地味なケーキですが、ジャムやフルーツ等混ぜ込むものによってバリエーションもつけやすく、当店では甘さも抑えてあるのでいくらでも食べられそうです。毎日でも食べたくなるような飽きのこないケーキ、それがパウンドケーキです。

 
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