春なのに。

[ 小さな星日記 ]

気がつくと彼女はいつものように、カウンタの一番すみの席で本を読んでいる。
それで僕は、あぁ、今日は日曜日だったんだな、と思ったりすることもしばしば。そのお客さんが日曜の午後、そこに座っているのが、いつのまにか当たり前みたいに思えるようになったのは、いったいいつ頃からだったんだろう。

駅近くの本屋さんで、忙しく働いている彼女を見かけたのはわりと最近のことだ。
そうか、本屋さんにお勤めなんだ、それじゃぁ本好きに決まってますね、納得納得となんだかちょっとうれしい気持ちになる。その時は声をかけられなかったんだけど、それからしばらくして彼女がいつものようにうちに来られた時に、お見かけしたことを話した。

それからはすぐにたくさん話ができるようになった。
本屋さんのことや、うちのお店のこと、それから僕の接客もとてもよく見ててくれて(笑)、僕はそうやって、少し仲良くなってきてとてもうれしくなった。思い切って、うちの「毎月新聞 ごはん」を書店に置いてもらえないかお願いした。彼女は店長と相談すると約束してくれ、すぐに置いてもらえることになった。こうやって、どんどんといろんなことをできるようになって、これからももっともっといっしょになにかできるのかもしれないなーと、僕は思った。

でも、昨日彼女はこの春、三鷹のから別のお店へ転勤になると教えてくれた。

あぁ。

春は別れの季節でもあるから、こんなこともあるだろうなと思ってたけど、予想はしてたけどとてもかなしい。転勤になるって言っても、引っ越しするわけでもないので、また来ますよと、彼女は優しく言ってくれるんだけど、でもね、でもとても残念。だって日曜日の午後のカウンタに彼女はいなくなるんだもの。

三鷹の森書店の藤原さん。
いろいろとありがとうございました。転勤までもうすこしあると思いますので、またいらっしゃるのを楽しみにしています。なんとお礼を言っていいかわからないんだけど、お会いできてとてもうれしかったです&これからもよろしくお願いします。

僕はこうゆうお別れにとてもヨワいです。
それは逆に「僕のことを覚えていて欲しい」からかもしれません。
でもそんな風なありふれたお別れをした、もう今では連絡先も名前すら忘れてしまったような、昔の友達やなんかのことを時々思い出したりしますね、この季節には特に。

 
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