10年。
[ 小さな星日記 ]
1996年の今日、僕は長い旅行の途中、ネパールの首都カトマンズに滞在していました。
だいたい一箇所に腰を落ち着けると、しばらくそこでのんびりするような旅行のスタイルになっていましたので、特にインドの激しい喧噪から逃れて、ヒト的にも食事的にも自分にすんなり馴染むこのカトマンズは、僕にとってホントに落ち着ける、ある意味オアシス的な居心地のよさがあったりしたのでした。
仲良くなった日本人の旅行者も何人かいたりして....ネパールのポカラで知り合ったカメラマンや、荻窪のケーキ屋さんに勤めていたというパティシエの男性、インドのヴァラナシで知り合ったタブラ(インドの太鼓)を勉強しているヒゲっつらの男性に、静岡から雑貨の仕入れに来ている紅一点の女性....僕はその朝、今日は夜7時にみんな宿に帰ってきてほしいとお願いしました....みんなでごはんをたべに行こうよ、いつものところに、と。
そのいつものところ....地元のヒトしかわからないような、チベットの模様の入ったのれんが掛かっただけの、暗い粗末な土間の小さな食堂....でもそこにはホントに太陽みたいな笑顔をしたお母さんが待っててくれて....そこが僕らのお気に入りで、ホントに毎日のように通ってました。
夜7時。
みんなで集まって、そのお店に...お母さんに、タシデレ!とご挨拶。
いつものように、まずはツボルグビールを注文して、あとはトゥクパ(チベットそば)、モモ(餃子)、マサラパパド等々...とにかく楽しくのんでたべる....で、okayan、今日はなにかあんの?
いや、今日、誕生日なんです、ワタクシ(笑)。
海外ではじめて、一度だけ迎えた誕生日は、そんなかんじでありました。
そして、自ら誕生日の宴に選んだお店こそが、ネパールはカトマンズの「リトル・スター・レストラン」。ココロの本店なわけであります。
(その時は名前は知らなかったけど....後にフタタビ店長ミヤザキとこのお店を訪ねることになります....その辺はこちらをどうぞ)。
なんだ早く言ってよ!
とみんな口々におめでとうと言ってくれ、帰りにはケーキも買ってもらって....ホントに、ホントにうれしい誕生日でした。
僕はあの頃、日本に帰って30は無理でも、35、10年後の36にはいい仕事をしてたいなと思っていました...バリッとスーツでも着てさ、後輩に憧れられちゃうくらいな(笑)、仕事のできるオトコになっていたいなと(苦笑)、なんの確信も根拠なく、実に単純に。
それで10年経ったけど、さぁ、どうかな(笑)?
....ウソウソ(笑)。
個人的には今とてもいい仕事をしていると思っています。
自分たち自身がこうしてここに居場所を作り、いいスタッフに囲まれ、いいお客さんにも恵まれ、そして自分の才能....と言うより、出来ること、力を思う存分発揮できる....そんなところで仕事ができるというのは、とてもしあわせなことだし、だからある意味、僕はあの頃の思いみたいなものをちゃんと実現させているんだなと、改めて思ってみたり...そして、さらに前へ、前へ、いい意味でとても野心的でいられる。それは最高に楽しいし、わくわくするね。
....ま、手ぬぐいにエプロン、おまけに仮差し歯だったりしますけどね(苦笑)。
ということで、36になりました。
みなさま、どうもありがとうございます。