魔 物。

[ 小さな星日記 ]

スポーツ....特にバスケットやサッカーのような流動的な競技にはあからさまに....その試合の流れ、というのがありますよね。ホントにワンプレーでチームがみるみる息を吹き返したり、その逆でひとつのミスであっという間に主導権を失ったり.....コートには魔物が住む、とはよく言ったものですね。

お店にも、流れというのがあります。
単純にお客さん(席)の回転と言うこともありますが、もっと大きいかんじ....うちの場合、開店してランチ、ティタイム、そして夜と営業時間が長いですから、ランチは大入りでも夜はさっぱりなんてコトもあるし(けっこう多いですけど....苦笑)、なぜかティタイムがめちゃ込み!なんて言うこともマレですがあります....今日はこの調子でバリッと稼ごう!と思っても、なかなかそううまくはいかないんですけどね(苦笑)。

そして、流れがあれば、やっぱりそれを切ってしまう....そんなワンプレーもあったりします。
ひとつだけ言うと、それは「お客さんを帰してしまうこと」です。
満席はもちろんですが、満席じゃなくても、ご来店の人数によってはお断りせざるを得ない場合があります....あと5分遅かったら、お席が空いたのになーなんてコトもよくあることですが、こうゆう場合すでにいい流れが切れていることが多かったりします....

オープンの頃はだいたいいつもヒマだったので(苦笑)、ご来店いただいたお客さんにはわりとどこでも好きなところにお座りいただいたんですが.....まぁ、そんなこともあって、最近はお客さんの人数でお席をご案内しています....狭いお席でご迷惑をおかけすることは多いですが、結果的にはいい流れの中で、いい時間をお過ごしいただけるのではないか....そんな風に考えているからです。

しかしこの週末。
夕方早いうちからお客さんがとんとんっとご来店下さいまして、わりと満席に近い状態がしばらく続きました....でも、いい流れがあったので、わりと僕らもかんじよく仕事をさせていただきました。でも9時過ぎくらいに電話が鳴って.....いつもよくしているお客さんだったんですが、人数がちょっと多めだったので、どうしてもお断りせざるを得なくて....僕等的にもとても残念だったんですが、そこで流れが切れてしまった.....それはもうスタッフ全員がハッキリわかるくらい、あからさまに(もちろん、電話下さったお客さんのせいではありません)。

それで僕はイライラするやら、悲しいやら.....ちょっとココロがささくれ立ってしまいましたし、自分でそれをどうにもすることができずに.....本当に、いやなかんじがずっとココロにつきまといました。

フードのラストオーダーが近づいてきて.....流れの切れ果てたその頃には、お客さんはもう数組しかいらっしゃらなくて、そんな時、何度かご来店いただいたことのある、男女のお客さんがお見えになりました.....僕はそれでもいつものように窓際の丸卓にお二人をご案内しました....そして、詳しくは書きませんが、いろんなコトがすべて裏目に出、悪い回転をし、結果的にはそのお二人はなにも注文せずに、ちょっと怒ったようなかんじでお帰りになられました。

僕の接客自体は、基本的にはいつもと変わらなかったし、お客さんを通したお席も、申し上げた内容もなんら間違ったことはなかったと思う......し、もう一度同じようなコトがあっても、きっと同じようにすると思う....でも、結果的には、お二人はお帰りになられた.....正しい接客をしたと思うけれど、結果がダメなら、まるでダメ、最低の接客だったのでしょう。

確かにきちんと適切な接客ではありました。
でも...その時のささくれだった僕には、ホンの少しのやさしさが足りなかった。
きっと、それを見透かされてしまったんでしょう。

その夜ご来店いただいたすべてのお客さん、
そしてスタッフには、本当に申し訳なかったです。

魔物が住んでいるのはコートの中だけではなく、
お店のホールの中にも、僕のココロの中にも住んでいる。

お店を始めて、はじめてその魔物に喰われてしまった夜。
流れを失って自滅.....って、まだまだ、人間できてないですね、まったく。

大変失礼いたしました。

 
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