.....ようやく読書の秋なのです。
[ 小さな星日記 ]
いや、村上春樹さん、ノーベル文学賞受賞ならず.....ちょっと残念でしたね....ま、でもだからといって彼の文学的な評価が変わるわけではないですからね、全く。残念は残念でしたけど(笑)。
先日秋休みにハワイに行きましたが、その時お供に連れて行ったのが、文庫化されたばかりの彼の「アフターダーク」。去年の秋休み、タイに連れて行ったのも彼の「海辺のカフカ 」....でも、ここ最近で本をちゃんと読んだのって、彼の作品に限らずそのくらいのもので.....本のソムリエ・活字中毒の店長ミヤザキやフカザワに比べたら、ほとんど本など読んでないと言っても過言ではないくらいのワタクシであります。
でも別に本を読むのが嫌いなわけではありません。
大学生の頃は、古本屋で文庫本を何冊も買ってきては読んでましたし、長い旅行中には....もちろん自由になる時間がたくさんあるのも手伝って、それこそ手に入る本は片っ端から読んでおりましたし.....でも、ここ最近は全くと言っていいほど本を読まない.....それにはちゃんと訳....というか、原因がありました。
ぱたりと本を読まなくなったのは、旅行から帰ってきてから....つまりもう10年も前です。
帰ってきた僕は当然無職ですし...でもやりたいことは山ほどあって....そしてMacを買い、使い方を覚え、インターネットをはじめ....とにかくそんな風にして自分のやりたいことをカタチにして、早くなんとか一人前になりたかった....なので、本なぞゆっくり読んでいるココロの余裕なんかなかったわけです....とにかくなにか、有用な、実用的で、実際的な、今すぐ役に立つようななにかを身につけなくちゃと、それはある意味、強迫観念でした。
デザインの仕事を始め、なんとか経済的には一人前になっても、僕のその強迫観念は消えることがありませんでした....というのも、僕はデザインの技術や決まり事やセンスや....そんなものをまるで知らないところからその仕事を始めましたし、だから、いつももっとうまくなりたいと思ってました...だから専門書やソフトの使い方の実用書を読むことはあっても、小説なんかに手が伸びることは全くと言っていいほどありませんでした。
お店がはじまってからも、やらなくちゃならないこと山積み、とにかくMacの前にいることが多い....そこで無為に時間を費やしたとしても、とにかくそうしないわけにはいかない....そんなココロの余裕のなさ。
そんな風に10年が経ってしまいました。
お店をはじめて、毎日時間に追われ、みんなクタクタに疲れて帰る毎日。
でもフカザワはその頃からいつもお昼の賄いの時に本を読むのを欠かさないし、店長ミヤザキもまたしかり、夜寝る前や、タオルを持って入ったお風呂でも、とにかく小さな時間があれば本を開く....そんなふたりに比べると、僕は圧倒的に集中力がないのでしょう.....そして、小さな時間で細切れに長い物語を読むのが苦手.....単純にせっかちなんですね、要は(苦笑)。
でも今週はちょっとふたりを見習って、僕も昼の賄いの時に去年出版された村上春樹最新刊「東京奇譚集」を読みました。短編集なので、毎日一編ずつ....読むの自体はそんなに遅くないので、さくさく読み進めました.....そして、昨日読み終えて、久しぶりになかなか気持ちが充実しているのに気づきました。
そろそろ....もういいのかも、強迫観念も消えつつあるのかもしれません。
僕のココロの持ちようも、少しづつ変わってきているんですね。
小さな時間に小さな物語。
そんなところから、10年ぶりの読書の秋をはじめる。
それこそうちのお店にはたくさんの本がありますしね。
ばかげた話みたいに思われるかもしれませんけど....でも僕個人はホントにとてもうれしいのです。
ホントに、ホントに。