2009年8月 8日
今年も8月はやっぱり、こうの史代フェア!
今年もやっぱり、こうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」をカウンターの席に置いております.....と共に、他の彼女の作品もいっしょに置いております。えぇ、今年で4年目、もうすっかり定着しましたね、真夏の「こうの史代フェア」。
今年は「この世界の片隅に 上 」「この世界の片隅に 中」ときて、いよいよ「この世界の片隅に 下 」、えぇ、完結しましたね、すずの物語。
戦時の広島、呉に嫁いだすずの生活が綴られていて.....でも戦争物にありがちな暗さや貧しさはあまりかんじさせません。もちろん大変な日々だったのだろうとは思うんですが、でもそれだけではなかったはず.....どんなに貧しくとも、先行きが不安で、そして人の死がとても身近にあろうとも....小さなしあわせやよろこびや楽しさがきっとあったと思います.....そんな戦時という日常が原爆投下のその日に向けて進んでいき.....いよいよその日を迎え、そして終戦…
戦争物ですからね、いくらほのぼのしたタッチで描かれているからと言って、やっぱりツライ話ではあるんです....きっとそれは作者であるこうの史代さんも同じだったんじゃないかなと。戦時中の文化や風俗のコネタを挟みつつ、漫画自体のタッチも連載一話一話微妙に変えてあったり(その回の物語に合わせたタッチになっているんでしょう)、その.....描き進むのが辛いような、そんな気もしました。
それでも、やっぱり物語は終わります.....この物語をきちんと読み切ることが出来て、いち読者としてホントによかったし、そして手渡されたバトンというようなものを考えずにはいられない.....そんな物語でした。
そしてその原爆から後、そして現在の物語が
「夕凪の街 桜の国」。
と、登場人物的に続くわけではありませんが、戦争と、原爆と、終戦と、そして今を繋ぐ物語が紡がれていくわけです。当店カウンタの4冊の漫画本で、これだけの物語が読めるというのは、えぇ、すばらしいですね(笑)。
一応8月いっぱい....お盆休みもありますので、そんなに長い期間ではないんですが、今年もこうの史代フェア、お楽しみいただければ幸いです。