March 15, 2008
置手紙。
雨の金曜日。
思いがけず賑やかな、ホントに久しぶりに活気のある金曜の夜....慌ただしいうちにお食事のラストオーダー、僕は下の黒板を書き替えに下りる。まだ雨は強く降っていて、なんで今夜こんなにお客さんがたくさんご来店下さったのか、Hanako効果ってかんじもしないしなーとちょっと思いつつ、でもくたくたの身体に賑やかな夜の熱が残っているかんじで、あたたかい雨が気持ちよく思えたり。
黒板を書き替えてお店に戻る。
各テーブルの片付けものを運んでくるまあこ.....okayan、これがあそこの席に置いてあったよ.....と、僕にメモを渡してくれる。二つ折りにしてあるメモ用紙、お店の方々へ.....そして、ごちそうさまでしたと、そう書いてある、置き手紙.....あのお客さん。
早い時間からご予約なんかで店内満席.....店の真ん中、大きめの席だけが、ようやく空いたそんな頃.....そのお客さんはご来店下さいました。お一人様ですか?とお伺いすると、えぇ、一人です.....真ん中のお席でもよろしいでしょうか?ちょっとご相席になることもあるんですが、よろしかったらどうぞと.....彼女はちょっとためらいながらも、下げものがすんだばかりの大テーブルの角におかけになりました。
大きなテーブルに一人....なんとなく、居心地が悪そうというか.....僕だって、やっぱりそう思うもんなと....そんなお席にしかご案内できないのを申し訳なく思いつつ.....でもそれ以外に.....ホールスタッフとして為す術もなく....
その....なんとなく....間の悪いかんじ。
でもそれは単にはじまりに過ぎませんでした。
ご注文しようとお伺いしたメニューは売り切れ.....しかも二度も!(ちょっと残っていたものをサービスするくらいしか出来ず)途中大人数のお客さんがいらっしゃったため、お席を移っていただき、そしてお帰りの際も....他のお客さんのお会計が何組か続き.....僕は彼女がお会計したそうにしているのをわかっていながら....自分が会計をしているものだから、ヒトコトお声を掛けることも出来ず......まあこにお茶を持って行ってもらうのが精一杯....とにかく一事が万事、間が悪い.....それどころか、どんなに誠実に対応しても空回り....逆に対応すればするほど間の悪さを上塗るだけのように思え.....でもそれは僕が悪いわけでも、彼女が悪いわけでも決してなくて.....単純に間が悪いだけ.....でもね、だけどね、それでもね。
だから仕方がないと.....言えないですよね。
ホール係としては。
手紙には...実にちょうど1年前にご来店いただいたことを.....ホワイト・ディのマシュマロで思いだして下さったことや、あんなに間が悪かった中でも.....食事もお酒も....僕らの接客も気持ちよく受けとめて下さったこと、そして....忙しい日々の中で自宅に帰るのも、いつも行かれているお店に行くのも気が進まない時.....なんとなくうちのお店に来たくなる.....
話をしたくないような気持ちだったのに、
お話ししたくなりました....と。
僕は...その場で泣きたいような気持ちでした。
ホール係として、おしゃべり店員として、これ以上にうれしい言葉が他にありましょうか?.....ねぇ?
何組ものお会計をお待ちいただき、ようやく彼女のお会計....今日はこのような....謝ってばかりになってしまいましたが、やっぱり本当に申し訳ありませんでした.....よかったらこれに懲りず、是非またご来店下さい、と。
でもその時の彼女が、とてもかんじよく、そしてにこやかに....また来ますねと仰っていただいたのは.....きっとそんな想いからだったんだなと。
いろんな人がいろんな想いでお店に来て下さる。
これからもいい仕事を、いいおしゃべり店員でいたいと.....いていいんだと強く思いました。そして、次に彼女がお店に来て下さった時は.....もう少し仲よくおしゃべりでもしたいもんだと、是非させていただきたいなと思いました。
ホントにうれしい置手紙でした。
ありがとうございました。
.....って、書きながらフタタビ泣きそう(苦笑)。